ヨガ

ホットヨガの危険性・デメリットについて


ホットヨガとは、高温多湿の条件下で実施されるヨガのことで、参加者が大量の汗をかくことが特徴です。
ヨガは、心身の健康や美に効果的な運動法ですが、実践の仕方によっては危険が伴うことがあります。特にホットヨガに関して、国民生活センターの報告によると、ホットヨガの体験者の約20%が怪我や健康問題を経験していることが明らかになっています。
これは警鐘を鳴らすべき数字で、幣スタジオ(常温ヨガスタジオ)を訪れるホットヨガ経験者のほとんどの方が体調不良を経験しています。

本記事の目的は、ホットヨガを含めたヨガ全体がより安全で充実したものになるよう、正しい情報を提供することです。安全にヨガを楽しむため、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、最適なスタイルを選択しましょう。

1.熱中症の危険性

35度以上の場合は運動を中止すべき

ホットヨガは、高温多湿の環境下で行われることから熱中症の危険性が高まります。日本スポーツ協会が公表した「スポーツ活動における熱中症対策ガイド」(2019年版)によると、外気温が35度を超える環境下では、特別な状況を除き、運動を中止すべきだと記載されています。このガイドは、ホットヨガを含む高温での運動に関しても注意を促すものです。詳細は日本スポーツ協会のガイドラインをご参照ください。

2.ホットヨガ参加者の約2割が体調不調を経験



熱中症対策ガイドで中止すべきと示されている環境下でのヨガの結果、多くの健康被害が国民生活センターへ報告されています。ホットヨガを経験した人の中で約20%が体調不良やけがを経験しています。この情報はホットヨガの利用者に対して注意を喚起する内容として国民生活センターより発表されています。 (国民生活センターによるホットヨガの注意喚起

3.ヨガ本来の効果が半減



ホットヨガのような高温多湿の中で行うヨガでは、ヨガ本来の深い呼吸を行うことが難しくなります。これは、精神や自律神経の強化に対する効果が半減することにつながります。さらに、高温多湿下ではポーズを長くキープすることが難しくなり、筋肉の伸長や強化、柔軟性の向上といったヨガの基本的な効果が半減します。

4.ホットヨガの効果

検索を行うとホットヨガの効果はたくさん出てきますが、常温ヨガにはなくホットヨガ独自のもので、筆者が確かに効果があると判断した効果のみを挙げたいと思います。

4-1.体重の一時的な減少と「整う」リフレッシュ効果

高温多湿の環境下で行うことで大量に汗をかき、その結果、体重が一時的に減少し※、達成感を感じやすい点です。また、サウナの後の「整う」といわれるようなリフレッシュ感を得ることができます。
※必ず水分補給を行い、体重を戻すことが体調を壊さないために必要です。一時的に水分が抜けただけで瘦せたわけではないことに注意が必要です。

4-2.冷え性の改善

高温多湿の条件下で強制的に体が温まると血管が拡張し血液の流れがスムーズになり、酸素や栄養が体の隅々まで届きやすくなります。手足の末端まで温かさが行き渡り、冷え性の改善が期待できます。
※常温ヨガでは、呼吸の改善やコア(体幹)の強化などにより冷え性に対応していくため、ホットヨガに比べると効果がでるのが少し遅いかもしれません。

4-3.発汗による美肌効果

また、発汗によって、毛穴の汚れが取り除かれます。これにより肌は清潔になります。さらに、発汗は肌の水分保持能力を高め、乾燥を防ぎながら肌のバリア機能を強化するため、肌質の改善に寄与すると言われています。

発汗によるデトックス効果はなし

一方で、発汗によるデトックス効果はありません。「ホットヨガでデトックス」などと大きく謳われている広告をよく見かけますが、発汗によるデトックス効果はほとんどないという(学術誌「Environment International」に掲載された)研究報告がでています。仮に2リットル汗をかいたとしても汚染物質の0.1ナノグラム以下(全体の毒素の0.02%)しか排出されないといいます。


ホットヨガを選択する際は、効果を享受する一方で、危険性・デメリットにも十分留意し実践することが重要です。実施するときは体調に留意し、特に体調の悪いときにホットヨガを行うのは避けましょう。